情シスの知識【データ消去 第1章】欧米の磁気消去・物理破壊の変遷と日本の動向

2015/11/26

これから3週にわたり、私、日東造機株式会社の唐鎌が、データ消去に関する欧米や日本の動向についてお伝えしていきます。

第一章 欧米の磁気消去・物理破壊の変遷と日本の動向
第二章 信頼できるデータ消去方法の種類と利用時の注意点(12/3公開予定)
第三章 日東造機の新たな挑戦(12/10公開予定)

欧米のHDD物理破壊・磁気消去手法の動向

時系列に登場製品の画像を並べた図です

HDDの磁気消去装置は英語でHard Drive Degaussers (ハード ドライブ デガウサー)、HDDの物理破壊装置は Hard drive physical destroyers(ハードドライブ ヒジカル デストロイアー)と呼ばれています。

第一章では欧米の磁気消去・物理破壊と日本の動向について述べます。
さて、HDDデストロイアー(HDD DESTOROYER)は、いつ、どこで、どんな製品が登場したのでしょうか?

日欧米のHDD物理破壊・磁気消去の動向

2002年 日東造機 卓上型電子記録メディア破壊(物理破壊)DB-6を発売

磁気消去業界では先行発売していたP社に追従したO社と日東造機の3社がデータ消去業界に参入、上書消去ソフトではこのころから、BLANCCO(本社:フィンランド)が参入した。

卓上型電子記録メディア破壊(物理破壊)DB-6の画像

2003年 日東造機 物理破壊DB-6DDB-25モデルチェンジ)初期モデルの出荷

出荷はアンカーネットワークサービス、デジタルリユース、東京エコリサイクル、パシフィックネット等のパソコンリユース/リサイクル事業者です。

2005年 海外webサイトで初めて卓上用HDD破壊機の登場

メーカー名はGUARDIAN(ガーディアン)で原産国は米国、特長はモーター駆動の物理破装置、大きさはW30cmH60D60 重量も50KGHDD破壊時間も60秒で、大きく重いというアメリカらしい製品でしたが、現在は市場から撤退している。

2006年 本格的な製品の登場はカナダのEDR社(現在は米国)

油圧ポンプを利用した破壊機が登場、米国でもオンサイト(出張)HDD破壊サービスが開始された。

カナダのEDR社(現在は米国)で油圧ポンプを利用の画像

2007

この時代の磁気消去は電磁板にHDDの乗せ強磁気を照射、主にフロッピーディスクやテープの磁気消去に利用していて、主に英国のVerity systems(ベリティシステム)がHDDにも対応していた。

2008年 磁気消去・物理破壊とも市場が活性化

米国ではNSA/DODといった公的機関で発生磁場の基準化が開始され、山形富士通製の強力な永久磁石方式の消磁装置が米国で販売される。日本では2004年ごろから先行販売していたP社に加えO社がこの時期に参入。

日東造機はこのころからドイツ/アメリカの展示会へ出展、世界一小型を特長にオフィス用途への展開を開始。

自動機DB-30POROは米軍等、手動機HDDB-15はワーナーブラザーズに採用された。

展示の画像

2009年 油圧ポンプを内蔵した破壊機が米国に登場

Security Engineered MachinerySEM)社の物理破壊装置はパソコンリサイクル会社に多く採用され始めた。日本ではソフマップが日東造機DDB-25II 店頭HDD破壊サービスを全国展開を開始。

日東造機DDB-25IIの画像

2009年 ギヤードモーターを内蔵した破壊機が英国に登場。(すでに市場から撤退)

2010年 米国BOW Industries社から手動の破壊機が登場

日東造機 世界初SSD(ソリッド ステートドライブ)に対応したSSD破壊機を発売。このころから日本市場の他社 手動式HDD破壊機は撤退が相次ぎ日東造機の独占状態になった。(物理破壊装置の国内シェア95%)

日東造機 世界初SSD(ソリッド ステートドライブ)に対応したSSD破壊機の画像

2012年 中国(武装警察/WG)に手動式HDD破壊機 大量輸出

ケーズデンキ内全国パソコンクリニック店に手動式HDD破壊機130店舗に導入。

2013年 日本市場から撤退した破壊機が米国に登場

このころから香港・台湾勢からも類似製品が登場。

欧米ではNSA/DODや認定を受ける新たなメーカーが多く登場、NatiOnal Association for Information DestructionNAID)という文書シュレッディングカー業界がメディア破壊サービスに本格参入。

2013年 垂直記録HDDに対応する磁気消去装置が登場。(欧米/日本)

垂直記録HDDに対応する磁気消去装置の画像

2015年 米国NSA/DOD 磁気消去と物理破壊の指針を改定

磁気照射は20000エルステッド(OE)物理破壊はV字に折り曲げる。日東造機は本格的なデータ消去複合機(磁気消去・物理破壊)DDB-60HBを発売、DB50PORO(電動)、HDB-20Vとシリーズ化を開始。

本格的なデータ消去複合機(磁気消去・物理破壊)DDB-60HB、DB50PORO(電動)、HDB-20Vの画像

いいかがでしょうか?

欧米の物理破壊・磁気消去と日本の動向を商品別に時系列にする並べることで業界の変遷や分岐点が見えてきませんか?
欧米、日本とも2008年ごろ市場が成長、そして、NSA2014年 消磁装置/デガウサーの照射磁場を40000oe(ガウス)に下記のように改訂しました。(正逆方向に20000Ooe)これは日本メーカーの照射磁場の24倍にあたります。

今までのデガウサーは電磁式の場合10000oeで消えるとされていたHDD(ハードディスクドライブ)が、現在では消えないHDDがあることを示唆しています。

 

The Proton T-4 is engineered to provide robust degaussing features for hard drive media up to 5,000 oe and tape media up to 2800 oe. These are the maximum media coercivities available today and the maximum coercivity available for NSA test purposes. The Proton T-4 actually produces 40,000 gauss uniform fields (4 Tesla) and usual NSA requirements are three times the flux versus media coercivity. If this general requirement is extrapolated, the Proton T-4 with 4 Tesla should reliably degauss media with a coercivity of 13,330 oe. In simple terms, the Proton T-4 will not be outdated soon and will degauss your magnetic media for many years to come. No other degausser compares!

https://www.nsa.gov/ia/_files/government/MDG/NSA_CSS_EPL_HardDriveDestructionDevices_22April2015.pdf

※データ消去の指針(ガイドライン)の物理破壊方法は日米とも共通で、上書き消去や磁気消去(デガウサー)で消去が確認できない場合は物理的に破壊して読取り不可能(アクセス不可能)にする。

また、その情報が国家的な重要機密であれば物理的に破壊しなければならないとされています。

そして2015年 垂直記録HDDSSDが廃棄時期を迎え、マイナンバー制度の追い風に新たな商戦が世界で始まっています。

日東造機は長年培われた経験と実績に基づき、最新のたゆまぬ努力で、また一歩、一歩進んでゆきます。
日東造機グループの技術は、みなさまの暮らしを陰で支える力です。
社会に役立つ企業でありたい。それが弊社の願いです。

唐鎌益男
日東造機株式会社 IT事業部長
三央工業株式会社 顧問(日東造機グループ) データ・セキュリティ・コンソーシアム 事務局長
日東造機株式会社の創業は昭和20年、創立は昭和25年(1950年)。
HDD物理破壊機シェアNO.1 2004年 第1回 情報セキュリティEXPOから2015年まで連続12年、電子記録メディア破壊機CrushBoxシリーズ を出展しています。

 

所属:日東造機株式会社

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